
トヨタグループの一員として、コンパクトカーを中心とした自動車の開発・製造を担うトヨタ自動車東日本株式会社。同社では、度重なる法改正への対応や、化学物質のリスクアセスメント対象物の増加に伴い、旧来の社内の化学物質管理システムとヒトに頼ったSDS管理に限界を感じていました。特に、社内全体で「どの化学物質が、どこで、どれだけ使われているか」を正確に把握できていないことが課題でした。
そんな中、グループ内の情報共有をきっかけに「ケミカンSDS管理」を知り、化学物質を「使用する側」に特化した機能性や、専門スタッフによる目検が入るデータ化の精度の高さ、そして迅速な法令改定対応を決め手に導入を決定くださいました。
導入後は、これまで属人化しがちだったSDS管理業務のハードルが下がり、ユーザー登録者ならいつでも必要な情報を可視化できるようになりました。現在は、全社的なSDS管理の一元化と、化学物質の自律的な管理体制の構築というゴールに向けて、社内での普及活動を積極的に進めています。
伊坂様: 私たちの安全・衛生グループは、本社のある宮城大衡工場のほか、宮城大和工場、岩手工場、そして静岡の開発拠点(富士裾野テクニカルセンター、須山工場)を含めた全5拠点の安全衛生にまつわる領域を統括する部署です 。法令や社内基準・ルールの制定、各拠点への展開などを主な役割としています 。グループは私を含めて14名体制で、化学物質管理については、高橋を含めた数名が主担当として携わっています 。
「ケミカンSDS管理」導入前の課題として、まず社内の化学物質管理システムが古かった点が挙げられます 。もともと化学物質を導入する際の判定がメインのシステムで、一度登録されたデータは更新されず、すでに使われなくなった物質の情報も削除されないままでした 。そのため、正直なところ、社内でどれだけの化学物質が、どの部署で、どれだけ使われているかを把握できていない状態だったのです 。
高橋様: 近年の化学物質に関する法令改定対応も大きな課題でした 。リスクアセスメントの対象物質がどんどん増えていく中で、SDSを正確に読み解くには一定の専門知識が必要です 。これを人の目だけでチェックしていたため、抜け漏れ発生のリスクがありました 。増え続ける対象物質に対して、人手だけの作業には限界を感じていましたし、内製でデータベースを管理し続けることも困難だと考えていました 。
伊坂様: このままでは、今後の法改正にしっかりと追従していくのは難しいと判断しました 。そこで、まずは社内で使われている化学物質の実態を把握することから始めました。調達部門から過去1年間に購入した製品のリストを入手し、サプライヤー様に連絡してSDSを集めるという、地道な作業からのスタートでした 。
伊坂様: 我々が所属しているトヨタグループでは、当時17社が参加する「化学物質法改正対応ワーキング」というものがありました 。2023年の安衛法改正は非常に大きなものでしたので、各社が「どう動けばいいのか分からない」と手探りの状態の中、情報共有の場として設けられたのです 。
そのワーキングの中で、トヨタ自動車北海道様が「ケミカンSDS管理」を利用して業務を効率化している、という話を聞いたのが最初のきっかけです 。我々は対応をどうするべきか検討している最中でしたので、「一度、どんなものか話を聞いてみよう」とアプローチさせていただいたのが始まりですね 。
高橋様: はい、伊坂グループ長が話したとおり、トヨタ自動車北海道様の事例がきっかけです 。まずは私がご担当の方とコミュニケーションを取り、「ケミカンSDS管理」がどのようなサービスなのか、ある程度学んだ上で検討を開始しました 。
高橋様: 正直に申し上げますと、御社の他にも同様の化学物質管理サービスを提供している企業をいくつか比較検討しました 。
その中でまず魅力的だったのが、我々のような「化学物質を使用する」側に特化したサービスであった点です 。他社様のサービスには、例えばSDSを作成するための機能が備わっているものもありましたが、化学品を製造しない我々にとっては不要な機能でした 。「ケミカンSDS管理」は機能がシンプルで、私たちのニーズに合致していました。
もう一つは、リスクアセスメントの工数を削減できる機能です。厚生労働省が提供しているリスクアセスメント支援ツール『CREATE-SIMPLE』と連携できる点は、大きなプラスでした 。
そして何より、データ化の高い精度ですね。当時、私が調べた限りでは、SDSデータを取り込んだ後に人の目によるチェックまで行っているサービスは、「ケミカンSDS管理」だけでした 。他社様との打ち合わせでは、古いSDSなどを読み込んだ際に文字化けの可能性があるといった話も出ましたが、ケミカンさんには最初から精度を期待できる安心感がありました 。
高橋様: 期待通りでした。現在、約960件のSDSを登録していますが、中には印刷が不鮮明なものも含まれています 。そういったものでも、しっかりと正確にデータ化していただいており、本当に助かっています 。
伊坂様: 継続的に利用していく上で、頻繁な法令改定対応にしっかりと追従していただけるという信頼感も、大きな決め手になりましたね 。
高橋様: 最終的なゴールは、社内で使用するすべての化学品のSDSを「ケミカンSDS管理」にアップロードし、一元管理することです 。現在、私自身がさまざまな会議の場で「ケミカンSDS管理」のメリットや使い方を社内展開している最中です 。まだ利用に至っていない部署もありますが、実際に使った担当者からは「すごくいいものを入れてくれた」という声をもらっています 。
誰でも、「ケミカンSDS管理」の画面を見れば、その化学品がどのような法令の対象なのかといった情報が可視化される点が大きいですね 。これまで特定の担当者に偏りがちだった化学物質に関する情報を、多くの人が理解できるようになったのは、大きなメリットだと感じています 。
伊坂様: 高橋だけでなく、私たち管理部門のメンバーも、各拠点を安全監査で訪れた際などに声かけをしながら、より現場に近い方々へメッセージを伝えていきたいと考えています 。
高橋様: はい。拠点からの要望もあり、10月に「ケミカンSDS管理」から『CREATE-SIMPLE』へ連携してリスクアセスメントを実施する流れなどをレクチャーする勉強会を予定しています 。こういった活動を各拠点で実施していきたいですね 。
高橋様: これは導入検討の段階からお伝えしていることですが、やはり「SDSの自動更新」機能ですね 。正直なところ、新しいSDSを入手する作業が一番エネルギーを使います 。
ウェブサイトで公開されている場合は自分で取りに行けるのですが、そうではないケースも多く、その場合はサプライヤー様とのコミュニケーションが発生します。この入手作業のストレスが解消され、古いSDSが自動で新しいものに切り替わったら、本当に嬉しいです。おそらく、多くのユーザーが同じことを望んでいるのではないでしょうか 。
高橋様: 化学物質の管理というと、専門知識が必要で、とっつきにくいイメージがあるかもしれません 。しかし、「ケミカンSDS管理」を入り口にすることで、その化学物質に関する情報を「知る」ことができます 。情報が可視化されることで、担当者の裾野を広げることができるのではないでしょうか 。
また、リスクアセスメントの支援機能が充実しているので、評価にかかる時間を短縮し、その分、本質的な対策にしっかりと時間をかけられるようになります。業務効率化の観点でも、非常に役立つツールだとお勧めできます 。
伊坂様: 私はより大きな視点になりますが、企業にとって法令遵守は絶対です 。「ケミカンSDS管理」は、国が求める「自律的な管理」を、社内にしっかりと構築できる管理システムだと感じています 。法令を遵守するという観点からも、ぜひお勧めしたいですね。
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